政府系ファンド

シティ、メリルをはじめとする大手金融機関に対する政府系ファンドによる大規模な出資が話題になっているようですが、中東諸国や中国による持ち株比率が高くなることの政治的妥当性なんかを議論する以前の基本的な問題として、「政府系のファンドが大々的に出資したら市場を歪めるからこんな投資はやめさせろ。それでつぶれるならそれが市場メカニズムのあるべき姿であって、適者生存でゴールドマンサックスだけ生き残ればいいじゃないか」という議論をなぜあまり見かけないのでしょうか。とても不思議に思っています。
そんなこと言ったら91年のシティ危機の際もサウジからの出資を仰いでるじゃないかという向きもありましょうが、あれはほとんどアルワリード王子「個人」の投資と呼んで差し支えなかったので、市場メカニズムに照らせば多数の(個人)投資家の行動の総計としては市場は効率的に機能するはずです。これに対し、政府は非効率だから小さければ小さい方がいいらしいですので、今回のようにこれだけ多くの政府系ファンドが出資して私企業に対する影響力を高めることは小さい政府に明らかに逆行し、世の中にとって非常に望ましからざることのはずです。まあ投資家の皆さんは自分のポジションがあるので(藁)ポジショントークとしては迂闊なことが言えないということはあるのでしょうが、少なくとも(自称)経済評論家やエコノミストの皆さんは一刻も早く声を上げて、悪しき政府系ファンドの代わりにみずほの出資比率が高まって効率的で自由な世の中になるように活動した方がいいんじゃないでしょうか。余計なお世話かもしれませんが。