安倍政権&税調会長人事

安倍新政権については、山谷・下村両氏の入閣、中川政調会長核武装議論発言など、最初は「どれくらいまで言っていいか周りの人間を使って探るつもりなのか?」とこのタカ派政権を勘繰りながら見ていた。ところが、学期の忙しさにかまけてその考えをまとめるエントリを書かないまま3ヶ月余りを経て、どうもこの政権は深謀遠慮に基づいて探りを入れているわけではなくて単にダメなんじゃないかという印象が強くなってきた。
核武装論議についてもいずれ書きたいが、一番目を疑ったのは久間防衛庁長官。「日本は政府として(イラク戦争を)支持すると公式に言ったわけではない」って、閣僚として一体何を考えているのか。broadmindはイラク戦争支持ではなかったが、しかし政府として言ったこと、決めたことには責任を持ってもらわなければ困る。重要な外交政策が「首相の個人的発言」で片付けられては敵わない。次には「緊急時核武装艦船領海内航行容認発言」があった。これを打ち消す下村副官房長官発言を見て、broadmindはてっきり下村副長官が「容認発言」をしたのかと思ってしまった(笑)。どっちも更迭ものの失言だと思うが、うやむやになってしまってるのか?復党問題でのゴタゴタといい、どうもこの政権は「タカ派」といっても単に保守的論説に一家言ある(と自分では思っている)多様な保守政治家の寄り合い所帯、安倍には案外求心力はなくて実態は同床異夢なんじゃないかと思い始めてきた。油断させられてるのかな?そうは言っても教育基本法は通っちゃったしなー。
別にこの政権がコケる分には全く構わないのだが、外交政策絡みの閣内不一致は他国に付け入る隙を与え、まさに保守派の方々が大好きな「国益」に跳ね返ってくるので勘弁して頂きたい。麻生外相はその辺はわきまえていると思うが、安全保障関係で麻生・久間・小池のデマケがちゃんとしているのかなど、どうもこの政権は政策の賛否以前の問題で信用ならない。
そして今回の税調人事もひどい。財務省の言いなりに石続投にはしない。それはいいと思う。しかし、まさに天敵の(笑)財務官僚ばっかり住んでいるような官舎に入居しておいて「公務員宿舎を売り払え」と息巻いているようなワキの甘い人間を「官邸肝いり」で税調会長に据えればどういうことになるか。こんなお粗末な人事なら、霞ヶ関主導の方がまだよかった。後任人事も、吉川洋やら伊藤元重やらの名前が挙がっていた(最後は香西泰に落ち着いたようだが)。吉川先生も伊藤先生も超優秀な経済学者ではあるが、税の専門家ではなく、「専門性」というものを一体どう考えているのだろうか。経済学をナメてるのかね。それなら本間教授の方がまだ適任なわけである。「どうせ政府の言いたいことを追認してもらうだけ」なのであれば、霞ヶ関筋の御用学者と何ら変わるところはないし、実際誰でもいいわけで、猿でもどこぞのエコノミスト氏でも座らせておけばいいのである。バカバカしい。
外交政策でも経済政策でも、ちゃんとバックボーンがあってやる分には自分の主張と異なっていてもまだしも納得できるが、素人の火遊びだけはやめて頂きたいものだ。それなら官僚に任せておいた方が遥かにマシ。などと考えるのは今や少数派なのだろうが、何か大変なことが起きてからでないと気付かないんでしょうな。専門知を軽んじる国は滅びるよ。