帝都東京・隠された地下網の秘密

東京の地下(鉄)網のかなりの部分は戦前にはすでに完成していた!
地図や資料を丁寧に読み込んで、状況証拠からこの(ある程度は)驚きの事実を明らかにしていく。そこまではいいでしょう。しかし、「今でも政府専用の(か何か知らないが国民一般に知らされてない)地下鉄路線がある」とか「東京を南北に貫く地下道路がある」とかいうことを匂わせるに至りトンデモの世界に突入。
確かに「政府が隠している」という前提に立てば、一ジャーナリストが明々白々な証拠を暴くのは困難ではあるだろうが、アンフェアだから弱い立場の人間は証拠が弱くても何書いてもいいということにはならないでしょう。だいたい、南北線大江戸線なんてついこの間まで掘ってたんだから、技術者がだんまり決め込んだって実際に掘った作業員探せばいいことで。ついでに言えば、なんつうか、「政府=悪or嘘or間違い」「政府以外=善or真実or正しい」という図式で先入観を持って資料を見るからそのように解釈もできるという話であって、私のようなひねくれた人間は(別に政府側が好きなわけじゃないが)あーやっぱりテレビ(それも朝日)の人ってこういう感覚なのかな、と思ってしまう。
市販されている地図同士の矛盾点、という身近な資料から出発してここまで調べ上げたことは素直に評価したいが、到達点としては大したことが言えているとは思えない。あと、本当にジャーナリストかというくらい文章が読みにくい。しつこいが、政府相手だからといってほのめかしの表現に逃げることや説明がわかりにくいことの理由にはならない。