The Last King of Scotland

2chのアフリカ情勢スレで紹介されて読んでみたものだが、これは思わぬ収穫!
「文学」としての評価は高くはならないのだろうが、ウガンダに渡ったスコットランド人の医者の卵と「アフリカ」とのコロニアルな出会いとその後の彼の精神的及び実質的なディアスポラ化、風変わりで残酷な独裁者アミンの恐怖と不思議な魅力、そして周辺で蠢く怪しげな白人達、といったアフリカを巡るテーマがジェットコースター的なストーリー展開の中に散りばめられており、単なる波瀾万丈ものにとどまらない内容を含んでいる。これがデビュー作という著者Giles Fodenには非常にセンスを感じる。なんか、手塚治虫とか浦沢直樹とかに漫画化してほしいような内容だなぁ。歴史上の大物を登場させつつ空想を膨らませて架空の主人公が活躍する様は「アドルフに告ぐ」とかに通じるものがあると思う。
著者のその後の作品としては、ザンジバルを舞台にしたアラブテロ組織ものとかがあるようだが、あまり生々しいネタよりも、アミンのようにある程度時間が経過して戯画化されているようなテーマの方が合っているように思える。