神の刻印 (上)神の刻印 (下)

エチオピア旅行時に読もうと思っていた神の刻印をようやく読了。まあ言ってみれば良質のトンデモ本。アークを題材にした変化球のエチオピアイスラエル・エジプト紀行として読めば楽しい。聖杯=アークという説や、ファラシャがイエメン経由でなくエジプト経由でエチオピアに移住した説、テンプル騎士団の役割などはかなりの資料的裏付けもあり、アカデミシャンには認められないだろうが、それなりの説得力を持つ読み物としての価値はある。
ただ、この人の限界(というか逆に言うとウリなのか?)は、そうした資料の渉猟で言えることだけで止めておけば、一線は越えずに異端扱いされるくらいで済むのに、「アークの不思議な力」みたいな話から超古代文明話へと持って行こうとするから完全なトンデモの世界に突入してしまうということだ。そんな妄想をして『神々の指紋』なんていうさらなるトンデモ本を書いているヒマがあったら平和になったエチオピアを再訪して、きちんとエチオピア正教の勉強をし、本書で不足していた部分のフォローアップ調査をしてほしいのだが。
しかしそれにしてもエチオピアというのは不思議な国だなぁ。ここまでまた行きたいと思わせる国は久しぶり。