教育再生会議

再び「ひょっとしたら日本ではすでに当たり前に話題になってしまっている話」かもしれないシリーズだが、今度は李スンヨプよりももっとシリアスな話。
この「教育再生会議」なるもので日本の将来の教育像を議論するというのは、果たして正気の沙汰なのだろうか?だってメンバーを真剣に選んだとはとても信じられない。そもそも、今実際に教育現場に携わっている人間が委員に皆無ではないか。これって問題になってないのか?そんだけデカい話をするからには、初等中等教育、特に一般的な公立校の現場で何が起きているかをまず把握することが重要である。義家弘介みたいなのからの提言は貴重だろうが、彼とてむしろ特殊な経験の部類に入るはずで、極端な事例を集めて結論を出されてもどうにもならない。
そもそも、山谷えり子あたりは都道府県レベルでの教育の実態調査ができないと文句を言っていたはずなのに、安倍政権にちゃんと実態調査をしようという姿勢が窺えないのでは本末転倒もいいところである。中学から私学のbroadmind自身、今「普通の教育現場」で何が起きているのか実感として「知らない、わからない」のでむしろどうせやるんだったらちゃんと調べて教えて欲しいのであるが、ひょっとして自分以上に浮世離れしてる人間が多いんじゃないかというこのメンバーで一体何を議論するつもりなのだろうか。
あるいは、下村博文なんかは文科省の役人自体を左翼扱いしているので教員を呼んで日教組が幅を利かせるのを警戒したのか?だったら、この際、「つくる会」系でも誰でもいいから、とにかく現場の教師を入れるべきだろう。代わりにゆとり教育導入時の事務次官小野元之)なんか呼んだって、右翼も左翼も誰も喜ばないわけである。本当に馬鹿げている。
それとも、実は最初から「教育崩壊」で語られている逸話の多くが例外的、あるいは都市伝説であるのを承知で、烏合の衆の委員を集めて現場なんか無視して強行突破を図ろうっていう腹なのか?だとしたら姑息なのもたいがいにしろという話だが、何かそこまでの深謀遠慮すらないんじゃないかという脱力感にも苛まれる。
この政権、歴史認識についていきなりだんまりを決め込んだと思いきや核武装の議論が出てくる状態といい、この教育再生会議といい、「本当にそれをやりたいならもっと真面目に考えてやれ」と言いたくなる話が多い。現実を見てないのは一体誰なんだか。誰が言い出したのか知らないが、「学園祭内閣」とは良く言ったもんだ。火遊びは本当に勘弁して頂きたい。