東アジア情勢を強く懸念する

このblogにはあまり政治的なことは書かない方向で考えていたのだが、最近ケネディで日韓学生の対話などをやっていることもあり、たまには一言。
今回の竹島問題における韓国政府の対応には心底失望した。残念ながら小泉政権と同様に、この政権にも東アジア政策において何も期待できないということが明らかになりつつある。非常に残念かつ危険な事態だと言わざるをえない。
はっきり言ってbroadmindは漁業関係者に知り合いもいないので、安全保障上の問題さえクリアされれば、竹島の領有権というのは実際のところどうでもいい問題である。しかしこの問題をその他の歴史問題と結びつける韓国政府の戦術というかマヌーバーは「どうでもよく」ない。
broadmindは植民地支配に関する限り最近の日本における右化傾向には断固反対であり、詳細につき検証不能な部分があるにしても、日本が全体として植民地支配や侵略に際して残虐行為を行ったことは否定のしようがなく、加害者としての立場を再認識して中韓に対して真摯な姿勢で向き合うべきだと考えている。検証不能な部分を盾に取ったり一部の逸話だけを並べて自らの都合のいいように解釈する等はもってのほかである。
しかし、国と国との関係である以上、是々非々というものは存在する。その「非」の最たるものが、この竹島問題であるとbroadmindは考える。歴史問題においてフォーカスすべきなのは日本の"brutal" colonial occupationであって、colonial occupationそのものではない。竹島問題は、①今後領有権にどのような決着を見るにしても江戸時代からどちらに領有権があるとも解釈できる状態が続いてきた島であり、20世紀に突然降って湧いた問題ではない、②韓国植民地化の過程で日本の領土になったにしても、韓国併合後の日本の「残虐行為」と竹島の領有には直接関係がない、という点を踏まえると、この問題をその他の歴史認識の問題と結びつけようとする韓国側の姿勢には何らの理も見出せない。
所詮外交は理ではなく情の問題ということで、国内向けにこのような宣伝をしないと政権がもたない、という事情は百歩譲ってわからないでもない。小泉の開けたパンドラの箱がここまでの事態を招いたという面も確かにあり、その点では一人の日本人として無念の限りである。しかし、何に一番腹が立つかというと、このように関係のない問題と歴史認識を公然と結びつける姿勢を露わにされると、「結局は何でも歴史問題に結びつけて言いがかりをつけてくるだけ」という右翼の言説が正当性を持ち、真摯に日韓の関係を改善しようとするリベラル勢力が余計に苦境に立たされるということである。東アジア情勢はかなり深刻な悪循環に入っているのではないかという懸念がある。