皐月賞回顧

今週は多忙であったために残念ながらじっくりと予想する余裕がなかったが、レース自体は土日とも素晴らしい内容となった。順番が前後するが、まずは皐月賞から。
何とこれがGI初制覇というメイショウサムソン石橋守騎手。一流どころではないにしても、特別や重賞でも堅実な成績を残してきたステイブル。ミスタースペインライブリマウントなどが代表的な騎乗馬であるが、GIにはこれまで縁がなかった。GI初制覇がクラシックである皐月賞ということで喜びもまたひとしおであろう。松永幹夫が引退した一方で、彼よりも年長の石橋がGI初勝利というのも面白い巡り合わせで、「長くやっていればいいこともある」という競馬の一面も見せてくれた。人望もある騎手なので、ベテランではあるがこれをきっかけに飛躍も期待できる。
また、見逃してはならないのが石橋を乗せ続けている関係者の心意気である。特に馬主の松本好雄氏は古株でありながらこれまでクラシックには縁がなく、今回の皐月賞は喉から手が出るほどほしいタイトルだったに違いないが、瀬戸口調教師とともにあえて石橋続投の決断。彼は以前からメイショウテゾロ@上籠やメイショウドトウ@安田など、とても一流とは言い難い騎手でGIに臨んできた馬主であり、GIでの安直な有力騎手への乗り替わりが常態化してきた競馬界にあってその筋を通す姿勢には心から拍手を贈りたい。
また、土日での障害・平地GI連続騎乗となった高田潤騎手も「高田だから」ということでオッズが下がるほどの事前の低評価をはねのけてあわやの場面もある二着。障害や調教技術では定評のある高田も平地では昨年勝ち星ゼロで、一般ファンからの低評価は致し方のないところであったが、今回の内でじっと我慢する一流騎手も顔負けの騎乗にはただただ感心。彼の場合は結果を出したとはいえ、「勝てなかった」ことで次があるかどうか微妙かもしれないが、松田師にも愛弟子の意地に応えてやって欲しいところだ。
いずれにせよ、「石橋・高田」の組合せは、「天才じゃないかもしれないが地道に頑張ってる奴ら」がターフに送り込んでくれた一陣の爽やかな風であった。感動。