いよいよ暮れの大一番①
まずは年末における競馬界最重要レースである第128回中山大障害。broadmindがこの名前を名乗っていることからして、誰が何と言おうと年末最後の大一番は「大障害と有馬記念」であってその片方ではありえない。年に二回のみ使用される大竹柵、大土塁の大障害コース、4100mという平地ではありえない長丁場、各馬のスタミナを削る6回のバンケット(谷)通過など、この過酷なレースを完走するだけでも人馬にとっては名誉なことである。完走を果たした馬達に、馬券の勝ち負けに関わりなく最後の直線で送られるファンからの惜しみない拍手や、当たり障りのないことしか言わない平地の有力騎手とはひと味違う、アクの強い障害ジョッキーの勝利インタビューも年末の風物詩といえる。
さて、馬券の検討に入ろう。
人気を集めると予想されるのは前走イルミネーションJS勝ちのメジロオーモンド。確かに大障害を含めて中山の障害コースを得意にしており前哨戦も快勝している。しかしながら、過去の実績を見ると大障害コースにおいてはブランディス、メルシータカオーあたりとの力関係ははっきりしており、それどころかマイネルオーパーとほぼ互角であったに過ぎない。結局の所は有力馬の故障によって押し出された形での最右翼であり、有力な優勝候補ではあるにしても、他馬の成長や復調次第では逆転の目は充分にあると見た。
次に障害入りして二戦二勝、障害界の新星テイエムドラゴン。経験がものを言う大障害においては三歳馬の参戦自体が珍しく、メルシーエイタイムとの三歳馬二頭参戦というのは実に三十年ぶりのことである。その三十年前は、中山大障害五勝という不朽の記録を打ち立てた名障害馬バローネターフが三歳でありながら初挑戦で二着に食い込んでいる。しかし、この年の大障害はわずか六頭の出走、しかもバローネターフも三歳とはいえすでに障害入りして七戦を経験していた。このとき優勝した、これまた伝説の名障害馬グランドマーチス(断然の一番人気)を除けば、そもそも他の出走馬もすでにバローネターフに負けている馬ばかりだったのであるから二着という結果もうなずける。今回、わずか二戦の経験しかない、しかも大障害どころか中山コース自体初めてのテイエムドラゴンが14頭の出走馬の中で結果を残すのは至難の業だ。ここは心情的には善戦を期待しつつも、馬券的には見送り。
その他、イルミネーションJSで僅差の二着ながら、今回三キロ増の61キロを背負うことが気になるメジロベイシンガー、今年春の中山グランドジャンプ二着ながら秋二戦の雰囲気がパッとしないチアズシャイニング、中山コース得意だが飛越が低く初めての大障害コースがやや不安なバローネフォンテンなど、有力馬にはどれも一長一短あり、なかなか悩ましい一戦となった。
そこで、一部からは「性懲りもなく」という声が聞こえてきそうだが、ここは思い切って古豪ギルデッドエージの復活に期待して◎を打つことにする。ここ十戦続けて63キロ以上ということで背負い慣れた斤量、鞍上に久々のGI制覇で勢いに乗っている熊沢騎手、馬自体も良化スローながらやや復調気配、J・GI四戦一勝二着一回落馬なしという実績を買うことにする。相手はメジロオーモンド、チアズシャイニング、バローネフォンテンでそこまでの大波乱にはならないと予想。
◎ギルデッドエージ
○メジロオーモンド
▲チアズシャイニング
△バローネフォンテン
で、馬連から三連単まで幅広く買ってみたい。