緊急討論「フランスで何が起きているのか?」

フランス人留学生らによる暴動事件に関する緊急討論。最初は周りの出席者がフランス人ばかりで英語が聞こえるとホッとするような環境(笑)だったが、徐々に非フランス語圏からの参加者も増えてそこそこの内容に。
「白人と移民系それぞれのidentityの危機」みたいなのはよくある話だと思ったが、「問題は移民や宗教ではなく、社会格差によってsuburbに社会の本流と全く異なる文化が生まれたことだ。メトロに乗れば、民族ではなく住んでいる地域でしゃべり方や振る舞いが違うのがわかる。第一、車が燃えているのはアラブ人街ではないではないか」といった反論が飛び出したり、「かつては曲がりなりにも移民の声を代弁する役割を果たしていた左派政党が内向きになったことで、彼らの声は全く無視されるようになった」「移民という現実を無視して、『ヨーロッパ』という方向しか向いていない、サルコジをはじめとするエリート層の責任」という意見や、「自分はフランス生まれで白人エリートと同程度の学歴があり、ちゃんとしたフランス語を白人と同じようにしゃべれるが、それでも履歴書に写真を貼って送ると何の反応もない。サルコジは能力によって移民を選別すると言っているが、これが現実だ。白人エリートはこうした人種差別と真剣に向き合うべきだ」といった西アフリカ系黒人の発言も飛び出し、なかなか興味深いものがあった。
フランスでは人種に基づいた統計は禁止されているというのは恥ずかしながら初めて知った。こういうのも良し悪しで、いちいちそういうレッテルというかカテゴリーを意識させるのも差別を固定化させる効果がありそうだが、どれくらいの差別や格差があるのかという実態が把握しにくいのはやはり問題なのではないかと感じた。また、移民や下層階級と一口に言っても、マグレブサブサハラアフリカでは全く民族が違うし、アフリカの中でもムスリムもいれば非ムスリムもいる。白人の言うところの「彼ら」の内部にどれくらいの一体感、あるいは緊張関係があるのか、という点も気になった。
それにしても人のことを言えた義理ではないが、フランス人の訛りはすごい。Heは「イー」、Youngは「ユング」、Identityは「イデンティテ」、まあ藻前らもちつけ、とw