全くファンというわけではないが・・・

本田美奈子さんが亡くなられたそうである。ミュージカルには全然興味がない自分にとっては特にファンではないのだが、38歳という若すぎる死には少なからぬ衝撃を覚える。言わずと知れた夏目雅子をはじめ、幸いにも回復した人達まで含めると、渡辺謙吉井怜市川団十郎、蔵間(故人)、アンディ・フグ(故人)など、芸能人・スポーツ選手には案外白血病が多いように思う(ちゃんとした数字がないので人口全体に比して本当に多いのかどうかは不明だが)。白血病以外でも、最近は中尊寺ゆっこや杉浦日向子といった漫画家の訃報も相次いだ。
一説に、こうした著名人に若くしての白血病や癌が多いのは過労が原因とのことであるが、実際のところよくわからない。自分がかつて働いた投資銀行業界を考えても、過労で死んだ人の話は時折耳にするが、むしろ過労っぷりに比べるとみんな元気なんじゃないかという気もする。もちろん、体を壊してまで働きたいかという問題意識の裏返しとして、どのみちいつまで生きられるかわからないのに、健康のために自分のやりたい仕事を諦めるのか、という問題意識も当然有り得るだろう。
自分は同世代の人の葬儀にはこれまでに三度出たことがあるが、いずれも何らかの事故(もし事件と呼ばないならば)が原因だったので、自分や自分と同世代の人間が事故以外の理由で自然死するということはまだまだ実感が湧かない。しかし、こうして自分と一回りも違わない有名人の訃報に接すると、そろそろ(自分にとまでは思わないにしても)そういうことがあっても不思議ではない、というか、多少の無理をしても命に関わるわけではない「とは限らない」ということを少しずつ意識しなければならない年齢なのかな、とも思う。
人間がいつ死ぬかは誰にもわからないにしても、今日明日(は極端としても見通せる近い将来)に自分が死ぬ可能性はほとんど不幸な偶然として無視できる、ということは先進国の人間の特権の一つかと思っている。途上国では必ずしもそうではないのではないか、というのが自分にとっての開発へのモチベーションの一つである。しかし、先進国に生きていても、若くても、やはり死はそこにありき、ということを心に刻まれたように感じた。