エリック・ドルフィー

突然だが、最近、エリック・ドルフィーにハマっている。
実はドルフィーのCDは以前から何枚か持っていて、恐らくはジャズ初心者だったら誰でも持っているこの本に「浅田彰のフェイバリット」とか書いてあったのに影響されて買ったのだと思われるが、著者の後藤氏イチ押しというエリック・ドルフィー・アット・ザ・ファイブ・スポットVol.1+1を初めて聴いたときはあまり好かなくて、元来がクラシック好きの自分は、あぁ?!「無調アヴァンギャルド」ものぉ!?(←我ながらすごい大ざっぱな分類w)それだったらストラヴィンスキーバルトークでも聴いた方が「ゴキゲン」だぜぇ!!??(ビキィィッ)(佐木飛朗斗風に)という感じだったのだが、渡米前にブルーノート決定盤でまとめ買いした中の、アウト・トゥ・ランチで一気に考えが変わった。出だしのセロニアス・モンクをフィーチャーしたという4分の9拍子の謎の曲からして緊張感が違う。切れ味鋭いフレディ・ハバードのトランペットや才気走るトニー・ウィリアムズのドラムも凄いがこのドルフィーのオリジナル曲のぶっ飛びぶりと本人のアドリブのアナザー・ディメンジョン状態!上記の後藤氏はこれを「異色作」としているが、異色でもなんでもいいがこれはとにかくすごいアルバムだ。
これでドルフィーの魅力に開眼してからあらためてアット・ザ・ファイブ・スポットを聴くと、これまでワケワカランと思っていたものが最上級のアドリブに聞こえてくるから不思議なもの。クラシックに比べるとジャズは幅広く聴いているとは言い難いが、自分の経験の中でアドリブ一発で「これは凄ぇ!」と思ったのは、バド・パウエルエリック・ドルフィーミシェル・ペトルチアーニの三人だな。もっとマニアックな世界に突入したらまた違う境地もあるのだろうが。
でも①:浅田御大はどこぞでドルフィーのことをチャーリー・パーカーからの「鳥となるベクトル」の延長線上の人、と位置付けているらしいが、それは違わないか?ドルフィーは鳥というか、あえて例えるなら空というよりも宇宙まで逝っちゃってると思う。もちろん火星までいらっしゃったコルトレーンとは違う意味でだけど(藁
でも②:このアット・ザ・ファイブ・スポット、演奏はいいけどピアノの調律が崩壊してるので気になって仕方がない。何年も弾いてないアップライトのピアノかよ?と言いたくなるほどのひどさ。日本だったらお子ちゃまの発表会でもこんなピアノは弾かせません(藁藁