アメリカでアフリカ化する

もうすぐ妻がアメリカに来るので、約2ヶ月間ソファーベッドで暮らしたbroadmindも二人分の寝床を準備しないと怒られる。ところが、こちらでベッドを購入するのがまた難事で、フレームやらマットレスやら何とかとフルセットで購入するとえらい価格になる上に日本人にとっては寝にくいやたらと柔らかいマットレスだったりして、実はソファーベッドの方が寝心地いいじゃんなんてこともあり得るので選ぶのが大変なのだ。
と思っていたら、アパートから徒歩15分くらいのところにあるfuton屋で日本の布団に近い物を売っているのを発見(こっちにはfutonというものもあるのだが、通常は日本の布団と別物なので要注意)。しかもご丁寧に畳まで売っている。マットレスだけ買って床にマットレスを置いてそこに寝るという手もあって安上がりなのだが、この場合、こっちの家は床がタイルかフローリングなので下手をするとマットレスがカビてきてしまうというのが難点。畳を敷けばこの問題が解決されるので、日本風の布団プラス畳というオプションのあるこの店はかなりポイントが高いと言える。
ということで少々予算オーバーだがこれにするかと思ったところが、新たな問題が発生。こんだけ高い買い物するんだから配達はタダだろうと思ったら、上記のように徒歩15分くらいのところに運んでもらうだけなのに、ドアまで45ドル、上の方のフロアだとさらにプラス5ドルで云々、とまたシットなことを店員が言い垂れた。こうなるとこっちも、「払えるが お前の態度が 気に入らない」状態である。じゃあ配達はいらない、畳はやめて、とりあえず布団だけ二つ買ってピックアップするよ、と言ったはいいものの、さて足がないのにどうするか。厚めの敷き布団二枚となると普通車にも載るかどうか微妙な大きさ。タクシーで二往復してもまだ配達料より安いとはいえ、せっかく意地になって節約しようというのにこれでは不満が残る。抱えてみると重さ自体は大したことないので一枚なら持てないことはないが、徒歩15分の距離を歩くのは腕にも腰にもきつそうである。むむむ。
そこでハタと気が付いた。頭か!そうだ、こうなったら頭だ!ということで、よいしょと担ぎ上げて敷き布団を頭の上に乗せてみる。よくアフリカの女性がやっている、あれである(アフリカ好きのくせに大ざっぱな表現だが、西アフリカでは一般的な光景ではないか)。お、なんか行けそう!?最初はコツがわからずに首に負担がかかったり(大した重さではないとはいえ首を痛めるのは非常によろしくない)、腕にやたらと力が入ってしまったりするが、うまいこと頭の上に乗ると意外と負担感が少ない。両側を軽く腕で支えれば普通に歩けるではないか。ということで、ここボストンの地で15分×2セット、敷き布団を頭に乗せて歩きましたよ。最初は2セットはとても無理かと思ったけど、慣れると全然行けるね。またもやシットなアメリカに完全勝利ですよ、と。
でも考えてみたら敷き布団なんて全然大した重さじゃないし、世界には何十キロからの水瓶やら荷物やらを頭に乗せて毎日何キロも歩いてる人もいくらでもいるんだよなぁと思うとこんなことで達成感を感じている自分が情けなくなる。開発やるとかいいつつ、日々やっていることと言えば、超金持ち大学に通って授業出て宿題解いてるだけだからね。高齢者とか障害者の疑似体験セットと一緒で、たまにはこういうのも身をもって体験しないといかんな、と当たり前のことを今さらながら再認識した次第。
いずれにしても、この苦労を我が妻は知る由もなく。