ヨーヨー・マのコンサート

えへへ。行って来ちゃった。コンサート。テスト前日だったけど(爆
でもねぇ、悪くはないけど思ったほどではなかったというのが正直なところ。25ドルだから文句言う筋合いはないけどね。


まず公演自体は、「シルクロードプロジェクト」と銘打って、シルクロード各国の民族音楽、またはそれに題材を取った現代作曲家の曲を演奏するという趣向。弦楽四重奏主体で、曲によって弦の人数が増えたり民族楽器が加わったりするというものでした。ヨーヨー・マはNスペの例の「新シルクロード」のテーマ曲を手がけているから、てっきりあれを演奏するもんだと思っていたbroadmindの予想は大きく外れましたが、まあそれはそれで良し、と。
まず一曲目。中国の民謡をオムニバス的に弦楽四重奏で演奏。普通。演奏者が掛け声をかける曲が入っていたのは面白かった。
二曲目。これが個人的には当夜の白眉。アゼルバイジャンの作曲家アリ=ザデーによる民族音楽テイストの現代曲。ん?この怪しい雰囲気・・・アバンギャルドながら抑制の効いた緊張感・・・どこかで感じたことがあると思ったら、やっぱりクロノス・カルテットのために書かれた曲でした。しかしこの曲で凄かったのは演奏もさることながら(あ、なんか興奮を思い出してきた。やっぱり結構良いコンサートだったかもwww)、「live painting」と称したコラボアート。なーんか演奏もしないのに舞台の脇にけったいな小道具並べた怪しいオヤジが座ってるなー、と思ったら、舞台の上から下りてきたスクリーンにキャンバスが映し出され、このオヤジが曲に合わせてリアルタイムでガシガシ絵を描いていく様子が見えるという趣向。これ、始まった瞬間はゥヲー、バブル期のデカダン的な文化イベントみたいだぁヨーヨー・マ何やっちゃってるんだよ?とかなりゴン引きテンション下がり状態のbroadmindだったが、このコラボは本当に凄かった。序奏の間は抽象画みたいなのだったが、激しいパートに入ると、インクチューブと指で猛烈な勢いで何か描いてく。まず古そうな城。手前は砂漠。次に、これは船?がなんで丘みたいなところに並んでるの・・・?と思ったらこれはアラル海ですな!さらに十字架の両脇に顔が出て来たり、舞踏曲(推定)みたいな部分になったらあっという間に踊り子を描いて、しかもその踊り子がやがて前撮り(前描きと言うべき?)してあった絵に重なって音楽に合わせてアニメのように踊り出すなど、いやー最初は色眼鏡で見ていたが、これは聴覚に加えて視覚でも「ライブ感」を楽しませてくれました。あと、絵は全て黒インクで描くモノトーンなんだけど(曲に合わせてやるから何色も使ってられないという現実的な制約が大きいのだと思うが)、これまた曲調にピッタリだった。
無駄に長くなってるが休憩挟んでからはbroadmind的にはそれほどでもなく、三曲目のアルメニアの民謡、四曲目はイランから民族楽器奏者三人を迎え弦も大きな編成になってペルシアの曲を演奏。ま、要はとにかく昨日は二曲目。これ


総括。一時期の不調は抜け出したと言われるヨーヨー・マ、ちょっと弾いただけでもただならぬ音を出すその存在感はさすがだけど、当夜は「鬼気迫る」というほどのものではなかった。まあ昨日は彼の母校であるハーバードの現役学生もアンサンブルに加わってというような企画だったから、ソロの真剣勝負と違うのは当たり前っちゃー当たり前ですが。
あと、この方向性もどうなんだろ?一時期はピアソラのタンゴをせっせと弾いていたヨーヨー・マ。今度はシルクロードっすか?クラシックを単に弾いててもしょーがない時代だというのはわかるが・・・とか言ってこれも書き始めると長くなるので略。
最後に、日本人よりも演奏者に「甘い」国があるとは初めて知りました。ま、「日本人は演奏の質が良くても悪くても演奏後はみんな拍手をしてくれるので日本公演は手を抜く演奏家が多い」というのが一般的な認識かと思いますが、昨日の客はみんなテンション高すぎだっつうの。学生ばっかだったから?それともアメリカ人ってこういうものなのかな?いずれにしても、ヨーロッパ(の少なくとも一部)のシビアな聴衆と違うのは日本人だけではないということがわかりましたな。