中山グランドジャンプ回顧

あまりにも色々なことがありすぎてフォローしきれそうにない一週間だったが、頑張ってとにかく順番にエントリを書いていこう。まずは中山グランドジャンプ。予想は惜しくも外れたが、カラジが見事に三連覇という偉業をやってのけた。12歳という年齢も含め、とにかくものすごいの一言であろう。
しかし、カラジと陣営には何の留保もなく敬意を表しつつも、「なぜカラジは日本の馬じゃないんだ」という疑問はぬぐい去れない。
繰り返すがカラジは12歳。この年齢で現役である日本の競走馬はそもそも皆無に等しい。馬主も調教師も「そんな年齢まで現役を続行させても割に合わない」と思うのだろう。しかし、カラジは10歳〜12歳の3年間で3億からの賞金を稼いだことになる。現実に日本のレース体系においてこの年齢の馬が億単位の賞金を稼ぐことも可能だという例を見せつけられているわけで、これだけ稼げば数年分の管理費預託料云々などすぐに吹っ飛んでしまう。日本の関係者は認識を改めて頂きたい。もちろん、現役を続行したところでそんなことができる馬はごく一握りだろうが、そうは言っても繁殖成績を期待されるようなそれこそごくごく一握りのエリートホースでもない限り、結局のところ競走馬の価値はレースを通じて賞金を稼ぐ能力にあるわけで、各競走馬がそうした能力を最大限発揮する機会を与えられていないとすればそれは馬主の理解不足、調教師の能力不足によるところも大きいだろう。日本の競走馬の中にもカラジが埋もれているのかもしれないのだ。
次に、「故障なく目標レースに向けて仕上げる」ということについて。いかに海外レースへの挑戦が世界的に常態化してきたとはいえ、毎年海外挑戦を繰り返すのは馬にとっても関係者にとっても並大抵の負担ではない。そうしたハンディを乗り越えてのカラジの三連覇は真に驚異といえる。それに比べて日本勢は有力馬が相次いで故障により長期離脱し、闘わずして敗れたに等しい状態であった。年齢がカラジの半分程度しかない馬を次々に故障させて、調教師、厩務員諸氏は恥ずかしくないのだろうか?いくら日本で障害競走が人気がないとはいっても、一般に障害馬の寿命は平地よりも長いのであるから、プロであるならば息の長い活躍ができるように緊張感をもって馬を管理して頂きたい。
そして、JRAとファンにも一言言いたい。今年のグランドジャンプのレースを見ろ。去年のレースを見ろ。過去のレースを見ろ。見たか?その上で、最近の平地競馬―手綱押し通しの短距離競馬と、スロー直線ヨーイドンの長距離競馬―の方が本当に面白いと思ってるのか?カラジが連覇する以前、セントスティーヴンの頃から、オセアニア障害界では中山グランドジャンプが挑戦すべき最大レースとして位置付けられ、ファンの間でも(ヨーロッパほどではないが)人気がある。日本の競馬文化の大いなる資産を主催者自身や日本のファンが理解できていないということは大いに悲しむべきことだ。