大地の子

今さらながら、「大地の子」DVD全六巻を観た。もう10年以上も前のドラマなのでここであれこれ感想を書くつもりはないが、名作であることは間違いない。だから80年当時の内房線弱冷房車ステッカーは貼ってないはずだとかそういうどうでもいい突っ込みも差し控えておく。
ところで最新情報が確認できないのだが、相変わらずこのドラマは日中合作であるにも関わらず中国国内では放送されていないままなのだろうか。まだ中国で放映されていないというのは、てっきり「陸一心をはじめ日本人が被害者としてのみ描かれていてストーリー中に侵略の反省がない」というようなことだとばかり思っていたのだが、はっきりとした真相はわからないものの、ざっとググってみた限りでは、文革の描写だとか農村の貧困だとか、そういう中国国内の事情がむしろ問題らしいというところが面白い。日本には戦中史に目を向けたくない闇の部分があるが、中国には戦後史に闇の部分があるというわけだ。ただ、中国の場合はそういう部分の認識を「国内問題」と主張できるところが外交上はお得だ。
確かに、元々の原作は胡耀邦山崎豊子に協力したとされているところ、とっくの昔に胡耀邦は失脚しているにも関わらず、中国で国宝級の俳優とされている朱旭をはじめ中国側からも大物俳優が数多く出演し、中国政府の協力なしには到底撮影できないようなドラマであるから、基本的なストーリーライン自体を政府として許容できないとかその他深刻な政治的事情があればドラマ化自体が不可能だったはずである。もちろん、ドラマ化にあたって中国側のキャラを当たり障りのないように変更したりといったことはあったようだが、逆にそこまでのすり合わせがあったのなら中国国内でも是非放送してもらいたいものだ。ケネディの中国人にも見せてみたいが、これまた段取りを気を付けないとロクな結果にならなさそうだ。トライする価値はありそうに思うが少々腰が重い。