常石勝義引退

2004年8月の落馬事故以降リハビリ中だった常石騎手が引退することになった。本人は一貫して復帰を目指していたということなので、残念、の気持ちももちろんあるのだが、約一ヶ月間意識不明、一時は最悪の事態も覚悟されるほどの事故だっただけに、元気に競馬場に姿を見せ、自ら判断して新たなスタートを切ることになった今日までの回復ぶりは驚嘆に値する。しかも、彼はデビューした96年にも落馬事故で一時意識不明となって長期休養を余儀なくされており(翌年復帰)、二度死地から生還しなお現役復帰にこだわっていたわけである。あらためて彼の生命力と競馬への飽くなき情熱に敬意を表したい。
常石といえば何と言ってもビッグテーストでの中山グランドジャンプ制覇が印象に残っている。これはノーザンテースト産駒最後のGI制覇で、SS時代の幕開けとほぼ同時期にデビューした常石が、それ以前の世代の代表的種牡馬であるノーザンテーストの最後を飾ったことになる。また、このレースは内容も素晴らしく、中山グランドジャンプ史上に残る名勝負として語り継がれることだろう(何人くらいが語り継ぐのかは別として)。
結局この二年半はレースで騎乗してないわけだし、リハビリは今後も続くのだろうから「お疲れ様」というお約束のフレーズもちょっと馴染まない気がするが、騎手免許返上は新たなスタートを切るための一つの区切りということなのだろうから、とにかく今後も元気に活躍して欲しい。