マキハタスパート怪走

高知競馬でオースミレパードが15歳7ヶ月という最高齢出走記録を樹立したことについてはハルウララ騒動のバカバカしさ(高知競馬の当面の存続に大いに貢献したことは認めつつも)とも対照させていずれエントリを書こうかと思っていたところ、オースミレパードの活躍に触発されたわけでもあるまいが、中央競馬でもとんでもない記録が樹立された。本日の阪神競馬4R障害未勝利戦で12歳のマキハタスパート号が3着に入ったのである。
勝ったわけではないにせよ、14頭立ての3着となれば、参加賞(出走手当)どころか馬券に絡んでいるわけで、予想する一般ファンにも大いに関係する圏内にまで飛び込んできたわけだ。マキハタスパートオースミレパードよりは3歳若いが、そうは言っても高知競馬(それも下級条件)と中央との間にはかなりのレベル差があるので、障害未勝利とはいえ中央競馬でのこの記録は快挙ならぬ怪挙といって差し支えない。この記録自体はひょっとするとカラジが来年さらにとんでもない記録を樹立して更新されてしまうかもしれないが、今回特筆すべきことはマキハタスパートが馬券に絡んだのは4年近くの休養を挟み何と6年9ヶ月ぶりだということである。関係者の執念で賞金獲得にまでこぎ着けた。出津騎手も、同じく高齢のオンワードメテオを事故で死なせてしまった直後なので、今回の結果には思うところがあるに違いない。
サラブレッドは経済動物であり、根源的に人間様の都合で走らせていることは動かしようがない。しかし、走る気の無くなった馬が勝てるほどレースは甘くないのであり、あくまでも出走しているのは「走る気のある」馬達である。そして、レースで結果が出るかどうかはそうした馬のやる気と能力プラス、それを引き出す関係者の努力であることを忘れてはならない。したがって、高齢の馬が現役を続行し、かつ結果を出すということはまさに人馬一体の努力の賜物なのである。
いわゆる一流馬以外にもスポットが当たり、そこに人々がドラマを求めることにはbroadmindは大賛成である。しかし、「結果の出ない馬プラス関係者の売名行為」で駄馬の連敗を美談にすり替えることよりも、こうした「どこまでも懸命に結果を求める馬プラス人」の努力こそが評価され、報道されるべきだと考えている。「勝つ」馬だけが注目される必要はないが、「負け続ける」馬をヒロインにするのは馬にも人間にも失礼極まる。マスコミ、特にテレビは正しい情報を正しく伝える自らの能力の欠如を捏造や歪曲で脚色して補う拭いがたい傾向があるが、マスコミ諸兄姉には一般人も競馬ファンも満足するような形でオースミレパードマキハタスパートのような馬をもっと取り上げることを強くお願いしたい。
最後になるが、両馬の奮闘と関係者の努力に心から拍手を送りたい。両馬とも、今後も「勝ち」を狙えるポジションにあり、まだまだ歴史を築ける可能性がある。