凱旋門賞

出産の興奮でやや時機を失してしまった感もあるが、やはり競馬ファンとして外せないイベントだったのでコメントを書くことにする。
かつて奇襲で世界に肉薄した蛯名に対し、好位抜け出しという意味では王道とはいえ、あえて従来の戦法を破っての8頭立て3着という結果、及び武の騎乗っぷりにはかなりがっかりした。斤量だ何だは最初からわかっていたこと、一番強い競馬をした云々とかいうのも、エルコン以降は「勝つ」という結果を得ること以外に参加の意味は無くなっているわけで、「あれだけ騒いでこんなもんかよ」という虚脱感に、ライバル達のより以上の「こんなもんかよ感」が拍車をかけ、どうせなら正攻法でいってハリケーンランに勝たれたくらいの方が悔しさは強い一方で納得感みたいなものはよほどか得られたのでないかと思う。
それにしても馬主と関係者の意地みたいなもので腰を据えて参戦したエルコンに比べ、JRAの大バックアップがありながらのこの結果。いやむしろそれがあったが故に、宝塚まで日本で走って凱旋門直行という中途半端なローテになったりと、やっぱりちょっと凱旋門賞をナメてたのではないか。また、某三大紙記者の友人からは「馬場に出てきた時の馬体があまりに綺麗だったので、同じようにえらく綺麗に見えたトウカイテイオー春の天皇賞を思い出して悪い予感がしてました」という感想をもらったが、「仕上げ」の難しさを実感する結果ともなった。
総括として、負け惜しみではなく、ディープ自身は現役では世界最強馬といっても「過言ではない」とは思う。しかし、エルコンの時は悔しくも「ベストを尽くしたが、世界の壁は厚かった」という前向きな悔しさがあったのに対し、今回はディープがJRA所属でなければ、あるいは武でなく例えばデットーリであれば、恐らく勝てたであろうに、「オールジャパン」であったがために馬は最強だったのに負けたという後ろ向きの悔しさがあり、日本人ファンのご乱行っぷりと合わせて日本競馬界にかなり失望した日と相成った。
いや、上記は撤回。デットーリでなくても、全盛期の岡部なら間違いなく勝てた。生産も調教ももう世界クラス。後退しているのは運営サイドとジョッキーだ。
もう一言。やはりエルコンドルパサー最強。「あの瞬間」がどれだけ貴重で惜しかったかを再認識。今回惜しかったとかそれでも凄かったとか言ってる奴はエルコンの時の凱旋門賞を100回見るべきだと思う。今回ディープと関係者が成し遂げるべきだった仕事を考えれば、レース内容も結果も、あまりにも凄く無さ過ぎたという以外にコメントのしようがない。