Bihar訪問記 その2

先週から放置してあったBihar訪問記の続き。
初日は彼自身がBiharに来るのが初めてというNachiket Mor氏他ICICIの面々に同行して州政府関係者や地元ビジネスマンとのミーティングに参加。翌日からの農村訪問が主目的でNachiketに同行するとはその場になるまで知らなかったbroadmindは、パリっとしたスーツを着こなしたICICI軍団の後ろからバックパックを背負ってついていく羽目になり、端から見ると怪しさ爆発の一行だったと思うがそれもまたよしとしよう。インドなので。
BiharはLaluという、ハマコー糸山英太郎田中角栄を足したような名物政治家が長いこと実質的に支配していたが(彼が汚職で逮捕され、代わりに文盲である彼の妻が州の首相に就任していた期間を含む。この州は本当に糸冬)、昨年の選挙で政権が入れ替わって再出発を図っているところだ。州政府の面々はこの最貧州を何とかしようという意欲は感じられたが、一体どこから手をつけたらよいものやらというのが正直なところで、Nachiketのエネルギッシュな諸々の提案にも「そうなったらいいんだけど、我が州にはそれ以前にまだまだかくかくしかじかの問題が・・・」というような煮え切らない反応。ただ、雰囲気は友好的ではあった。
対照的にバカっぽかったのが当地のIndustrial Associationとの会合。ICICIはインド最大の民間銀行でありながら、Biharにはわずか4つの支店しか設置しておらず、そのうち3つは州都のPatnaにある。要は当地に支店を持つ大企業対応でおなぐさみ程度に支店を出しているだけで、実質的には地元には何らのサービスも提供していない。それに対する不満があるのはわからないではないが、民間の一銀行を捕まえて、経済力にも治安にも返済実績にも問題ありまくりのこの州に対する経営姿勢を責めても仕方がないと思うのが(少なくとも日本人的には)常識的な感覚だろう。しかし出るわ出るわ文句の数々。融資を拡大してくれくらいの話ならまだしも、しまいにはデリバティブだのCDSだのと大企業並みのサービスを要求し出す始末。どっちみちあんたらには関係ない商品ですから。デリバティブって言ってみたいだけちゃうんかと小一時間(以下略)
これは困ったね。「ちゃんと返すためにこういう風にするから貸してくれ」ではなくてまず「貸せ」ありき。経済学を学んでいる身としては説明変数として「文化」を安易に持ち出すことは避けたいが、この考え方じゃとても貸せないって。貧困農村では今やお約束のマイクロファイナンスもBiharでは全く普及していないようだが、それも頷ける話である。先が思いやられる。
午後からはICICI軍団と別行動となり、いよいよプロジェクトサイトへ。以下次号。