江戸の敵を長崎で?

「UBS」という名前に反応してしまったのは私だけではないはず。今を去ること4年前、上場直後の電通株に「1株16円で61万株」という誤発注を出したのが他でもないUBSである。同社はリベンジの機会をずっと窺っていたのだろうか(笑)。もちろん、直接の担当者は即クビになっているだろうが、真面目な話、前回事件後にこうした誤発注を拾えるような体制を構築していたとしても不思議はない。
それにしても、である。主幹事でありながら同株を大量取得した日興といい(恐らくは主幹事としての責任を果たすため買い支えたとか強弁するのであろうが)、莫大な利益を上げたUBSといい、そのたゆまぬ利益機会の追求には呆れるといえばいいのか、感心させられるといえばいいのか。
単純に誤発注を行った側を救済しては、誤発注をしても平気だという前例を作りモラル・ハザードを引き起こす。しかし一方で、誤発注は「誤」発注である以上、誤発注後は価格が効率的に形成されていないのであるから、このような機会を捉えた取引は何ら効率的な資源配分をもたらさない。プロである金融機関(の一部社員)にこうした取引を思いとどまることが期待できないのであれば何らかの対策を取る必要があるだろうが、「規制」と口にしただけで魔女狩りに遭いそうな世の中である。バカバカしいことだ。