94年ペナント開幕戦 西武対近鉄
(2007年4月12日リンク更新)
GREEのキーワードで「西武ファン」を登録しようとして思い出し、久々に調べてみたこの試合。年間平均1〜2試合程度しか球場に足を運ばない自分が球史に残る(?)この試合と、ノーヒットノーランが達成された試合(2000年4月7日の中日バンチ@横浜スタジアム)を生で観戦したことがあるという強運っぷりは誇っていいと思う。この試合については「異星人への自慢」に詳しいのでそちらを参照して頂きたいが、4回までに11奪三振の野茂のスーパーピッチ、往年の快速球は鳴りを潜めた郭泰源も打たせて取るピッチングで8回までゼロ対ゼロ、しかも野茂はノーヒットノーランペース。すごい緊張感だった。そして9回。このままゼロゼロだったら野茂のノーヒットノーランはどうなるんだ?と気になり始めた重い均衡を破ったのは近鉄石井浩郎の3ラン。熱狂的西武ファンの自分もこれで試合は決まったと思った。あとは野茂がノーヒットノーランを達成できるかどうか、そこが興味の中心だ、と。ところが・・・
9回裏。先頭バッターは清原。この清原のライトへのヒットでまず野茂のノーヒットノーランはなくなった。野茂対清原といえば元祖「平成の名勝負」だが、この日ばかりは清原も結果的には露払い。むしろこの時点では、清原の意地を乗せたようなヒットには唸らされたものの、(しつこいが)西武ファンの自分も、あー野茂ダメかー残念と思ったくらいだった。そして鈴木四球、石毛左飛凡退、ブリューワ二失で一死満塁となった(このエラー後の野茂から赤堀への交代が後に論議を呼ぶことになる)。このとき、一緒に観戦していた友人(アンチ西武)に向かって「これ、一発出たら逆転サヨナラだけどね(笑)」と言ったのは覚えている。彼の返事は「そんなわけないでしょ〜(笑)」そりゃそうだ。興奮でお互い声が上ずってはいたけど、あくまでも軽口のつもりだった。赤堀の投球練習が終わって試合再開。バッターボックスには伊東。そう、伊東だったんだよ伊東。88年の対中日の日本シリーズでも延長11回に日本一を決めるサヨナラヒットを打ってるしこういう場面では勝負強いんだよ伊東は、という話もした。しかし本当にホームラン打つとは思わなんだよ!?
伊東の打球がレフトスタンドに吸い込まれた時は、ただ呆気にとられて眺めていた気がする。あぁぁ〜、本当に打っちゃったよ。逆転サヨナラ満塁ホームラン。8回までゼロゼロでノーヒット。9回表に3点。0対3から、「お釣り」なしのまさにこれしかないという美しいスコア。しかも開幕戦。
今思い出しても興奮してきてしまった。一説によると野茂はこの試合での赤堀への交代劇が不満でそれが大リーグ挑戦のきっかけの一つになったとか。こんなチャンス一生に一度あるかないかだろうから野茂も惜しかったなノーヒットノーランなんかもうできないかもなぁと思ったが、それがどうして、あの日の所沢の空が大リーグでの二度のノーヒットノーランや日米通算200勝という彼のその後の偉業にもつながっているかと思うと、試合自体の興奮が甦るのに加えてあらためて歴史に立ち合った感満載ですなぁ。戦力外通告を受けて苦しんでるみたいだが、もう少し、もう少し頑張ってほしい、野茂!