秋学期がようやく終了

先学期は経済学部のコアのEconometricsを履修し、昨日ようやく試験が終わった。コアといっても一番簡単なものだから、(Econ Ph.Dの学生にとっては)肩慣らし程度のものでしかない。それでもこっちはついていくのが精一杯なわけである。言ってみれば草野球経験者が大リーグの秋季キャンプにちょっと顔を出してみたという感じだろうか。まあ、キャッチボール一つとっても大リーガーからは学ぶものがあるちゅうことでw それに、ここに来て日本では理解不能だったHayashiの内容がようやく少しずつわかってきた。わかってみればこういうことかという面も多々あることはあるが、それでもこれを初読ですぐ理解できる人間は頭の出来が違う、と思う。
ハーバードは一部のEcon Ph.Dプログラムのように「コアで落とす」という発想はあまりないので、昨日の試験問題自体は手抜き感のただようものだったし、こちらも冬休みですっかり呆けていて全くの勉強不足だったから「ついていくのが精一杯」だった割にはナメきった試験対策だったことは否めないが、強がっても仕方ない、昨日はどっと疲れが出た。「キャンプ」に参加して敷居が下がった面と、やはり自分は(Econ)Ph.Dの器にあらず、と認識させられた面(というか下手に目指してたら人生オワテタ)と両方あった。色んな意味でKSG来て本当に良かった。
それにしても、1959年にここハーバードでPh.Dを取得している担当教授Dale Jorgenson御歳70ン歳の元気一杯ぶりには驚かされた。まあ、イキのいい人達に言わせればさすがに教えていることは「古くさい」ということになるんだろうが、それでもここ5〜10年くらいに出版されたWooldridgeやHayashiの教科書(Arellanoに至っては3年前くらいだな)やごく最近の論文も読み込んだ上でSTATAを使う宿題も含めて講義ノートを作り、かつほとんど暗記してスラスラ板書するわけだから尋常ではない。この世代の日本人でPh.Dコアの授業が現在もマトモにできそうなのは「最もノーベル経済学賞に近付いた日本人」Amemiyaくらいだろう。彼らのような高齢教授は一部では「老害」が問題になることもあるみたいだが、tenureという言葉の意味をあらためて考えさせられる。最新の研究動向に触れられることももちろんだが、SenやJorgensonのような「天才老人」を見られることも留学の大きな価値だろう。